下肢静脈瘤は女性に多い病気の一つです。主に下腿(膝から下の足)に起こる静脈(表面の血管)のこぶ(瘤)の事です。静脈は血液が心臓へ帰って行く道筋なので、動脈と違い低い血圧しかありません。そのため足の筋肉の収縮と静脈弁(血液の流れが一方通行になるように血管の内部についているドア状のもの)によって血液を心臓に送っています。この弁が生まれつき弱かったり、妊娠(妊娠中は腹圧が上がるため静脈の血液が心臓に帰りにくくなります)や長い間の立ち仕事などでその弁の働きが弱ってしまい、静脈の中で血液がうっ滞し、静脈の血圧が上がり静脈に瘤ができる病気です。
この瘤は動脈の瘤のように破裂して障害が起こることはめったにありませんが、静脈血が下半身でうっ滞するため、足がむくんだり、だるかったりという症状が出てきます。このような症状を長い間放置していると静脈炎から皮膚炎、皮膚の色素沈着を起こしたり、ひどくなると血液循環が悪くなり皮膚潰瘍を起こすこともあります。また、この病気を持っていると最近よく聞く深部静脈血栓症(エコノミークラス症候群)が起こり易いとも言われています。
治療は、初期には弾性ストッキングの着用をお勧めしています。これは病気の根本的な治療ではありませんが、足首を一番強く圧力でしめつけてくれ、ふくらはぎ、太ももの順に圧力が弱くなるストッキングです。医療用のこのストッキングは、静脈瘤内の圧力より強い圧力でしめつける構造になっており、症状改善、静脈瘤の悪化予防に効果があるといわれています。ただ状態が進んでいるような場合は手術治療が必要になります。日帰り手術が可能な結さつ術、数日の入院が必要な抜去術まで病状にあわせて選択することになります。
当クリニックでは、当日の下肢静脈エコー検査で原因を同定し、的確な治療をお勧めしています。どうぞお気軽にご相談下さい。
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