今回は少し趣向を変えて、心臓の手術についてお話しましょう。
皆さん心臓の手術ってどんなイメージですか?最近は心臓を止めないでする冠動脈バイパス手術なんかも結構標準の手術になってきていますが、やはり心臓を止めて手術するのが一般的です。心臓が止まっている間は人工心肺(心臓と肺の代わりをしてくれる器械です)に体の血液循環をお願いしておいて、その間に手術をします。心臓は心筋保護液で護られて、弛緩した(筋肉が柔らかくなった)状態で止まります。最近は、心筋保護の技術も進歩し、3~4時間は安全に心臓を止められるようになってきています。でも、もちろん止める時間は短いにこしたことはありません。でも時間内にすることはしないと病気は治らない、これが心臓外科医のジレンマです。
さまざまな技術進歩で、私が医者になったばかりの20年前に比べれば、心臓の手術も圧倒的に安全になってきています。じゃあその手術死亡率(手術後30日以内の死亡率です)は、待機的手術で0.5%程度、緊急手術を含めると1~5%程度(緊急手術は患者さんの状態も悪く、疾患の状態も重篤なため)、なかなか1%を割れないのが現実です。これって高いと思われますか?低いと思われますか?100人手術すると1~5人が亡くなる。結構厳しい数字ですね。もちろん、手術を受けないとこのまま死んでしまうような重症の患者さんを含めての数字ですが・・・。スペースシャトルの事故の頻度は、(一度事故が起こるとしばらく飛行は中止されますが)今のところ0.5%程度ですね。うーん、考えてしまいます。
最近、東京の医大病院で未熟な心臓外科医の手術による手術死亡が問題になりました。逆に言うと、心臓手術はまだまだ一人の外科医の技量だけによるところが大きい分野だということです。あと20年後にその状況は変わっているでしょうか?
当クリニックでは、心臓手術が必要であると診断された方のご相談に応じています。近畿一円の心臓外科施設の最近の手術成績を参考に、的確な心臓外科医選びをサポートします。
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